世の中みんなダラばっか

吉村医院の哲学 経由でこの吉村医院というのを知りました。全くこんなトンでもがもてはやされるとは。吉村医院google の blog search検索した結果。ナルホド、わけのわからん食餌療法やキノコや気功やそんな類に自ら進んでだまされる人が後を絶たないのもむべなるかな、ですね。ホント世の中ダラばっかです。

まぁ批判する側の言い分だけ読んでもアレなんで、吉村医院のサイトを訪ねてみました。そのトンでもぶりには、ホントたまげてしまいます。もしも19年前に、自分や女房がこんなのに感化されていたら、女房と末娘(常位胎盤早期剥離で出血し、緊急手術を受け、一月ほど早産で帝王切開で生まれた。)を同時に失うことになったんだよなぁ、と寒気が走ります。徹底的に批判されて、吉村氏が医師を続けられなくなったら良いのに。

自然なお産をするためにより

日本の土地で単純な農業によって自然につくられたものを、少しだけ食べるといいです。江戸時代や明治時代の食生活がいいのです。自然の法則にしたがって生きていた頃の食べ物を食べることで、かつてのような自然なお産ができるようになっていきます。

ホンマかいな、嘘若しくはいい加減な話です。
まず、江戸時代や明治時代と一括りにするなんて、乱暴にもほどがある。17世紀初頭から20世紀初頭まで、人々(どの人々なのかは一応置いといて)の食生活は基本的に変わらない、なんてあり得ない。あり得ないのに、何を根拠に「江戸時代や明治時代の食生活がいいのです。」と言うのか、本当に不思議です。それから、「自然の法則にしたがって生きていた頃」って言うけど、少なくとも江戸時代の中期以降の江戸市中の自立した生活者は、夜遊びもしたし、夜更かしもしたし、美味いもんを求めてなけなしの銭をはたいたし、決して「自然の法則にしたがって」生きていなかったと思うのだが、そういうのは無視なんですかね。
そして何よりも、例えば江戸中期や後期の江戸市中の町人で自立した生活者のお産が、今よりも軽かった、という証拠はどこにもないんですよね。何となく感覚でそうじゃないのかな、と思って言っている。責任ある真面目な医師の言葉じゃないと思います。
「自然の法則にしたがって生きていた頃の食べ物を食べることで」という文章につけられた写真のおかずは、見たところ烏賊の鉄砲焼きのようですが、こんなんまず食えなかったと思うよ、江戸時代の庶民は。写真は見たところ玄米のようだが、江戸後期の頃の江戸市民は白米だし。少なくとも江戸時代の食生活とは全くかけ離れたもんです。それから、実際の塩分量はどうか解らんけど、見る限りじゃ塩分多過ぎのように思うのは俺だけか?ちゃんとタンパク質も脂肪もバランス良く摂らなきゃいかんと思うのだが、見る限りでは脂肪もタンパク質も不足するように思うが、どうなんだろう。きちんと栄養士が管理しているので、見た目とは違ってちゃんとしているんだろうか。なかなか疑問に思います。
そもそも粗食が身体に良い、なんていったい誰が言い出したのだろう。つい最近(数十年前)までは、動物性のタンパク質や脂質はご馳走だった。私が子どもの頃は、卵の箱詰めが高級なる見舞いの品だったんだ。江戸時代や明治時代でも、十分なタンパク質や脂質を摂取できる人って、本当に一握りに過ぎなかった。そんな食生活だけが原因ではないだろうけど、50歳で老人になり、稀に70歳以上生きる人はいても多くは60歳までに死んでしまったんだ。

まぁそれでも人間はちゃんと生きていたし、子どもも生まれ育っていたから、そういう昔の食事が良いんだ、という考え方をする人がいるのは、ある程度しょうがないと思う。が、きちんと医学を修めた医師が「江戸時代や明治時代の食生活がいいのです。」等と無責任に言ったらイカンだろうと思う。第一「江戸時代や明治時代の食生活」が具体的にどんなものか、全く吟味されていない。勿論食い過ぎてゴロゴロするのが良いのか、って言うとそりゃ悪いに決まっている。でも、だから「粗食」が良いとどうして短絡するのか、バカじゃないのか、と真剣に思ってしまうのです。

うーん、書いていて段々腹が立ってきたんで、このくらいで止めておこう。